古き良き日系大企業におけるバレンタインデー
庶務課の管理職から局内全員宛に、
「今年のバレンタインデーは、チョコのお渡しは無しでお願い致します。」
とのメールが。
ちょっと面食らいましたが、この類の指示メールに対して、「宜なるかな」と思うサラリーマン丸出しの自分に気が付きました。
気を遣ってチョコレートを用意しようか迷う女性社員。
部内は見渡す限り30代〜40代のおっさんなので女性の普段もかなり大きいです。
さらに、渡してしまえば、翌月はホワイトデーで男性側からお返しをしなければなりません。
チョコレートをはじめとして、甘いものがさほど好きじゃない社員もいるでしょうし、もはやうっすらと漂う根拠不明の文化めいたもののために、我慢をする義理も無いと言いたいところです。
時代の流れ、社員の思い、会社組織としての一体感の醸成。
こういったものを加味した結果、上記のような、管理職からの一見珍妙に映るメール送付に至ったのでしょう。
業務外のメールにも、JTCらしさを垣間見ます。
いやむしろ、こういう場面にこそ、内需系大企業の本質がよく現れます。
このような機微や情味をよく理解した人物が出世していくのです。
こういう「気遣い」に触れるたび、「ちょっと疲れを感じるな…」と思う自分のような社員は、仕事においてもそれなりのパフォーマンスしか出せません。
バランス感覚に優れるだけでなく、心理的抵抗を感じず淡々と流れに身を任せていくことができる人物こそ、会社の方針に従い、キャリアの上昇気流に乗ることができます。
頭でわかっていても、これを成し遂げることは容易ではありません。
まして、これを40年続けると思うと、考えただけで眩暈がします…🌀
すでにこんな生活を10年弱続けているわけですが、どこまで行ってもこの輪廻からは抜けられそうにありません。
私のような、
- バランス感覚が無く、
- 誰にも気付かれない自己欺瞞の気遣いに気疲れして
- 土日どちらか多くの睡眠時間を摂らないと翌週の出勤を乗り切れない社会不適合の軟弱者は、
思い切って社外に出たところで、通用するのは似たようなJTCか公的機関でしょうし、身を置くことになる企業風土は大きくは変わらないでしょう。
己の限界に気付いたつもりになりつつ、確定申告で見た薄給源泉徴収票を見て、「この状況どうにかならないのか…」と思う自分。
…ここまでが、一つの思考のループ。
いけない、何度同じ思考に陥るのだ…
ほぼ全くと言っていいほど同じ思考回路を辿るため、決して深まらないメタ認知。
こうして、会社でも、自宅でも、無為の時間を過ごしてしまいます。無為の時間を過ごした罪悪感を感じます。
そして、自宅にいてもなお、会社のことを考えてしまう嫌悪感…
新しいことを考えることや、今までと違うことをするのは頗る苦手ですが、言われたことは確実にこなす。
一人一人が誇り高き上位下達の体現者。
このような場では、イノベーションは起きないでしょう。
こうして真綿で締め上げられるように、会社が、否、私自身も静かに滅んで行くのでしょう…
これもまた、「宜なるかな」という感じです。